デジタルカメラのレンズと撮像素子(センサー)

今回はデジタルカメラの性能のキーになる部品についての簡単な話です。

デジタルカメラの性能は、今回のタイトルにしたレンズと撮像素子だけではなく、実はスマホの心臓部であるプロセッサーと呼ばれる部品も大きなウェイトを占めています。

でも、今回はレンズと撮像素子という、どちらかというとシンプル(?)な部品についての話題だけに注目します。

そして、初心者向けということで、内容は厳密ではなく、ざっくりとした雰囲気を掴んでもらうことを目指した表現になっています。詳しい方は優しい目で見てくださいね。

1.レンズ

スマホのレンズについての謳い文句といえば何でしょうか?

開放F値、光学ズーム倍率が主なところでしょうか?

レンズの性能はこの2つだけで測ることができるものではありません。でも、スマホのカメラ用のレンズという点では分かりやすい部類の項目なので、広告によく使われているんだと思います。

開放F値というのは、レンズがどれだけ光を通しやすいかということを数値化したものです。誤解しやすいのは、この数値が小さいほど光を多く通すということです。ですので小さい方が良いということになります。現在販売されているスマホのカメラの開放F値は大体1.8前後でしょうか。

光を通しやすいということは、同じセンサー感度ならシャッタースピードがより速くできるので、よりブレにくくなりますし、同じシャッタースピードならセンサー感度を低めに設定できるので、より画質の高い写真を撮影することができます。

また、開放F値が小さいと、光学的なボケが発生しやすいです。このボケというのはピントが合ったところの前後方向のピンボケの度合いがより大きくなります。これはレンズとしてはいい特徴として捉えられています。

ピントが合った部分は輪郭がはっきりとシャープに写り、それ以外はぼんやりと写るので、写真としては注目した部分を強調した表現ができます。但しスマホのカメラは撮影用の素子の面積が小さいのでミラーレスや一眼レフカメラ程ボケることはありません。

但し、最近ではソフトウェア的にボケを強調することができるようになってきているので、ボケの効果をレンズだけで実現しようとするのはあまり意味がなくなってしまいました。

では、次に光学ズーム倍率について話します。

わざわざ「光学」という言葉をつけたのには意味があります。実はスマホの最大ズーム倍率というのは、光学ズーム+デジタルズームの組み合わせの結果を表現したものが殆どです。

デジタルズームは、実は撮像素子で捉えた画像の一部を切り取って拡大しています。従って、拡大すればするほど画質が低下してしまいます。最近ではプロセッサーの性能が非常に向上しているので、画質の低下は以前ほどではないと思いますが、画質低下とは切っても切れない関係があります。

それに対して、光学ズームというのはレンズだけで実現しています。被写体からの光の曲がり具合を調整しているだけ、撮像素子で捉えた画像がそのまま写真になるだけなので、画質は低下しません。基本的にズームの倍率を上げていくと、最初は光学ズームだけで倍率を上げます。光学ズームだけでは不足したときにデジタルズームを援用します。ですから、なるべく高い画質で写真を撮影しようとするなら光学ズームの範囲内で撮影するのが安全だと思います。

さて、実はカメラのレンズというのは、いくつものレンズを組み合わせて構成されています。ズームレンズでは、これらのレンズのうち、一部のレンズが動くようにできています。この動くレンズを動かすことでズームの機能を実現しています。

ズームして被写体を拡大するというのは、レンズが写せる範囲を狭めるように一部のレンズを動かすことで実現しています。その反対に被写体を縮小するというのは、写せる範囲を広めるように一部のレンズを動かすことで実現しています。

一概に表現すると気分を害する人がいるかもしれませんが、実はズームできるレンズは、一般的にズームできないレンズの性能には及びません。また、対応しているズーム倍率のどの値でも同じ性能というわけではありません。そのズームの範囲内で満たすべきレンズ性能はメーカーが設定しているので、ユーザーがあまり気にしなくてもいいものだと思います。

2.撮像素子

撮像素子というのはレンズを通って結像した被写体の光を受け、電気信号に変換する部品です。センサーとも言われています。(ただの「センサー」では光を感じるものであることが分からない表現ですが…。)

全体は長方形の形をしていて、一面に受光素子が並んでいます。この受光素子が縦横に幾つ並んでいるかということが、撮影できる写真の解像度を決めています。

撮像素子の表面に格子状に並んでいる各受光素子は赤・緑・青の3原色の光の強度に応じた3種類の電気信号を出力しているわけではありません。一つの受光素子は赤・緑・青のどれか1色の光に応じた電気信号しか出力していません。

三原色の各色に反応する受光素子は、ある一定の割合で撮像素子上に規則的に分布しています。ですので、ある特定の位置の各色の光の強度は、その近くの受光素子の電気信号の値をもとに計算して求めることができます。

ちなみに、同じ解像度で、同じ条件での撮影なら撮像素子が大きいほど画質は良くなります。その理由を簡単に説明します。撮像素子の面積が増えると、受光素子自体の面積が大きくなります。すると一つの受光素子が受ける光の量が増します。その結果、受光素子からの電気信号に含まれるノイズなどの影響が相対的に減り、被写体から届く光の情報の分布をより正確に反映できるようになるからです。

さて、数年前のスマホのカメラで使用されていた撮像素子のサイズは1/2.3型くらいだったのですが、現在では1/1.6型程度まで大きくなっています。メーカーがどんなに頑張ろうとしても、結局はスマホの筐体に入れなければいけないので、あんまり大きくはできないみたいですね。

そして画素数ですが、数年前でしたら大体1200万画素というカメラが多かったのですが、最近では5000万画素超えのものが多く、1億画素を超える製品も販売されるようになりました。

撮像素子の面積はせいぜい1.5倍程度しか増えていないのに、画素数は5倍から10倍になっていますので、受光素子が受ける光の量は多くても30%程度に減少しています。それでも撮影できる写真の画質は向上しているのですから、撮像素子(と、プロセッサー)の性能向上のスピードには驚くばかりです。

なお、撮像素子は3原色の光強度のセンサーとしてだけではなく、ピントを合わせるときにも使われています。このときは光の位相という情報を使用しています。ここから先はちょっと難しくなるので説明は割愛します。ただ、実はピントを合わせるのに使える受光素子というのは撮像素子一面に隙間なくあるわけではありませんでした。それでも通常の使用上は、これまで特に問題なく撮影できていました。最近はそのような受光素子が撮像素子一面に隙間なく配置されているものもあります。このような撮像素子を使うと、よりきめ細かいピント調節ができるようになるので、動きのある被写体の撮影などに効果が期待できます。この最後の情報は、カタログなどにはあまり出ていないようなので、あくまで参考程度ということで。

それではこれでレンズと撮像素子についての話はおしまいです。